『よくわかる、こどもの医学』 金子光延著 集英社新書
清朝時代に編纂された古医書に『医宗金鑑』というものがあります。この本の中に小児に関する病気とその処方をまとめた巻がありますが、その冒頭を意訳してみると、「赤ちゃんは症状を訴えることが出来ないので治療がとても難しい。そこでしっかりと診断する方法を身につけるべきである。」と書かれています。
小児が病気をしたときに、一番もどかしく、一番むずかしいのが、この“症状を訴えることができない”ということではないでしょうか。医療器具がどんどん進歩していく中でも、この小児科の難しさは古今東西変わらないことではないでしょうか。
医療者ですらこうなのですから、まだ小さいお子さんをお持ちのお母さん、お父さんは本当にたいへんです。熱が出れば大騒ぎ、うんちがゆるくなればまた大騒ぎ、今度は熱、今度は咳と、不安ばかりが心の中を去来していきます。
本書は、そういった小児への不安を解消するのに役立つ一冊になると思います。
本書は赤ちゃんから小児まで、お子さんをお持ちの親御さんに向けた簡易的な一冊ですが、幅広く多くの症状の多くをカバーしており、ポイントがまとめられています。とりあえず一通り読んでおいて、頭の中に入れておくと、何かの時に役に立つのではないでしょうか。
ちなみに本書で扱っている症状で主なものを挙げると、「かぜ」、「熱が出る」、「咳が出る」、「下痢をする」、「お腹いたい」などなど、小児がよく訴える症状ばかりです。小児の症状だけではなく、親御さんが抱く小児の病気への心理状態や、そういった親御さんへのアドバイスなどもある、お薦めの一冊です。
【その他の関連新書】
よくわかる、こどもの医学―小児科医のハッピー・アドバイス (集英社新書)
- 作者: 金子光延
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る