『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』 宗田哲男著 光文社新書
本書は、巷で話題の糖質制限の本であります。
糖質制限が良いのか悪いのか、賛否両論があります。まだまだ検証が必要なところもあるようですが、それでも実際に効果が出ている話も多いですし、実際に炭水化物をしばらく抜いてみると、体調が良くなることを実感したりもします。
本書の著者の専門は、産婦人科。
ということで、本書は産婦人科の先生から見た糖質制限のお話しであります。
本書のきっかけは、糖尿病の妊婦さんの勇気ある決意があったということです。
糖尿病を持ちながら出産をすることは、とてもたいへんなことです。中には中絶をよぎなくされることもあります。
糖尿病の妊婦さんはとても慎重に対応しなくてはならないため、大きな冒険は出来ません。しかし著者は、糖質制限の正しさを確信しているがために、冒険ではなく、むしろ一番安全な道として、完全なる糖質制限を糖尿病の妊婦さんに進言します。
今の常識的なアドバイスからすると、それはとても無謀なことと思われるし、妊婦さんも実行することをためらうのが普通だと思います。しかし、著者の進言を忠実に実践した妊婦さんがいて、そして実際に糖尿病のリスクはなくなり、無事に出産できたという事実が数多く載っております。それを発表する著者も勇気がいることでありますが、それを実践する妊婦さんもまた、もっと勇気のあることではないかと思います。
そんな著者の産婦人科から見た実践例から、著者はさらに糖質制限の根拠を探っていきます。
ケトン体の存在は、これまでの医学的常識からは忌み嫌われるもので、それを増やさないことが奨励されてきました。しかし、実際のところケトン体が人体で何を引き起こしているのか、どんな役割があるのかはほとんど分っていないのであります。人体全てには無駄がないと言いますが、代謝産物として生まれるケトン体もまた、人体の何かに役になっているはず・・・。ではその役目とは一体・・・?
ケトン体が人体でどんな作用をしているのか、著者の思考実験は進んでいきます。婦人科、妊婦さんという視点から考察している点は、他の糖質制限にない身体の事実を示しているのではないかと思わざるを得ません。
糖質制限について興味がある方、糖質制限に懐疑的な方など、糖質制限について知りたい方にとって、本書は新たな思考実験の機会を与えてくれるでしょう。
【その他の糖質制限に関する新書】
【キーワード検索】
「糖質制限」 「ケトン体」 「炭水化物」 「グルテンフリー」
ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか (光文社新書)
- 作者: 宗田哲男
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/11/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る