『「気」で観る人体 経絡とツボのネットワーク』 池上正治著 講談社現代新書
この本では、まず東洋医学独特の概念である「気」というものを、中国文化の中での成り立ち方やその概念を説明し、それが医学にも応用されてきた歴史を考察しています。中国哲学・中国思想は、「気」というものをキーワードにして成立した学問体系ですが、現在は人文科学の分野で扱われています。しかしそれが自然界にも通じ、医学にも応用できるということになると、これは自然科学の分野にも入ってきます。つまり、「気」という学問は、文系、理系というものに分断するものではなく、両者が混在した世界観といえるのではないでしょうか。そういったことを含めた中国医学の「気」という視点で、その気が流れる経絡、気が集まるツボというものを述べたのがこの本です。 この本は、経絡の流注の順番で書いてあるので、とてもまとまった印象を受けます。鍼灸学校に入りますと、経絡経穴概論という授業がありますが、これはひたすら経絡と、その経絡上にあるツボの名前と場所を覚えることに費やされる授業です。ともすると退屈な暗記科目になりがちですが、この書物をそばに置いておきますと、経絡を学ぶことに興味を持つことができるようになると思います。流注順ですので、順番に追っていけるのが本書のよいところです。また新書なので、鍼灸学校の行き帰りの電車の中でも少しずつ開いては読むことができるのではないでしょうか。
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「気」で観る人体-経絡とツボのネットワーク (講談社現代新書)
- 作者: 池上正治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/12/16
- メディア: 新書
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