『勝負食 トップアスリートに学ぶ本番に強い賢い食べ方』 石川三知著 講談社+α新書
本書のタイトルは『勝負食』。そしてその副題には「トップアスリートに学ぶ本番に強い賢い食べ方」とある。勝負=スポーツというイメージから考えると、本書はスポーツ選手や、スポーツをやっている人に向けたもののように思われる。しかし本書を読んでいると、主にスポーツをしている人に向けてはいるものの、本当の主旨は、プロローグにも載っている「サクセスフルエイジング」にあると思われる。著者による造語、「サクセスフルエイジング」とは、各世代、各人にあった、よりよく生活を営むための食事の取り方というもの。食事というのは日常生活であり、老若男女だれもが死ぬまで続ける行為で、何もスポーツ選手やアスリートに限った特別なものではない。それぞれがそれぞれの人生を充実させるために必要なこと、それが毎日の食事にあると言うことなのだ。そういう意味が込められた本書は、スポーツに限らないより多くの人にも大切な内容になっている。
本書の第1章には、「スポーツと栄養の密接な関係」とある。しかしこれもまた、“スポーツ”という一つのフィルターを通しはいるものの、その内容はそもそもの身体の機能や仕組みをわかりやすく説明し、それと栄養との関係を説いたもので、一般の人にも共通する話題である。とかく栄養について書かれた本は、例えば「ビタミンCは○○に効く」とか、「ビタミンBは○○という食品に多く含まれる」と、栄養素を軸に書かれているものが多い。これは一見便利ではあるが、功能や食品名の羅列になりやすく、辞書的な活用はあっても、応用がなく面白みがない。しかし本書は、身体の仕組みから入って、それに必要な栄養素を挙げているので、身体の機能や仕組みから栄養のことを学ぶことができるので、身体と各栄養素のつながりがはっきりしやすい。これも、この本の良いところではないだろうか。
さらには「疲労回復のために」「パワーアップのために」「集中力を維持するために」といった目標別の食事法がまとまっているため、食事に対して複数の視点で重ねて学ぶことができる。 最後の数章は駆け足気味でやや消化不良なところがあるため星4つとさせていただいたが、内容、構成などは5つ星ではないかと思う。新書というコンパクトな書籍の中に、うまくわかりやすくまとまっている。今の自分を変える、それぞれの年代を謳歌する、そのためには自分の食事を見直してみてはいかがでしょうか。本書は、スポーツをする人はもちろんのこと、スポーツをしない人にも参考になることがたくさん載っている、とても役に立つ一冊です。
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勝負食 トップアスリートに学ぶ本番に強い賢い食べ方 (講談社+α新書)
- 作者: 石川三知
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/20
- メディア: 新書
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